治療院の先生方へ…協働のすゝめ | ミッシェル・グリーン

治療院の先生方へ…協働のすゝめ

カテゴリー:マーケティング
2015年8月18日

協働の記事について、お問い合わせをいただきましたので、もっと詳しい部分についてパソコンブランドDELL(デル)の事例と一緒に説明してみようと思います。

 リンク:ライバル治療院と「協働」することであなたの治療院はより大きくなる

 

デルの栄枯盛衰

あなたのパソコンはどこのメーカーのものでしょうか?Lenovo(レノボ)、HP(ヒューレットパッカード)、アップル、東芝…先生によってさまざまなメーカーのパソコンを使われていると思います。ですがかつて、メーカーパソコンといえば「DELL(デル)」という時代がありました。

パソコンメーカー「デル」はかつてはパソコンの世界一位のブランドとして、名声を欲しいままにしていました。ユーザーの好みにあわせてカスタマイズされたパソコンを組み立て納品するという、在庫を持たない注文生産方式で高い評価を受けていました。

当時はパソコンは普通のユーザーは組み立ててあるものを買い、自分にあったパソコンは詳しい人が自作するというのが主流でしたが、その中で、デルは詳しい知識がなくても、パーツを指定してくれればデルが組み立てて郵送するという、当時としては革命的な方法で大成功を収めたのです。1999年のデルは、AmazonやYahoo!などの大手インターネット販売業者が束になってもかなわないほど、最大手のインターネット販売業者となりました。

ですが、デルは2013年に経営を建て直しはかるために、創業者でCEOのマイケル・デルが全株式を買い戻し、上場廃止となっています。2013年の実績でデルのパソコンについての世界シェアは中国のLenovo(レノボ)に負け、世界三位、アメリカ国内でもHP(ヒューレットパッカード)に負け二位に位置しています。

デルは自他ともに求める巨大な存在でした。そのデルが失敗した理由が協働です。2005年以降から、世界が大きく変わりました。パソコン市場が成熟し、特注品より日用品としてパソコンを利用する人が増えたのです。カスタムメイドの高品質パソコンでなくても、店売りの日用品で多くのユーザーの目的は果たせるようになりました。それに対してデルは対応できませんでした。

 

デルが対応できなかった3つの要因とは

 

・1つ目の要因

注文生産方式だけでなく通常の販売ルートを構築するために中間業者と協働路線に踏み切れなかったことです。日用品となったパソコンを売るには、販売と流通を担当する中間業者との協働が必要でした。デルのアドバイザーだった経済の専門家たちも中間業者を利用することで対応できると主張しています。しかし、デルはこれまでの成功から、直通販売をしてたデルに取ってライバルであった中間業者と利益を分かち合うという方向にシフトすることができなかったのか、対応は大きく遅れました。

・2つ目の要因

デルが商品の価値を重視しすぎて、顧客との関係性を重視してきませんでした。デルのパソコンは高品質でしたが、デルだから買うではなく、高品質だから買うに留まっていました。そのため他のメーカーから高品質なパソコンがあらわれ、さらにそのパソコンにはどのように良いかユーザーにアピールするパートナーがデルには欠けていました。良い物という1つの価値を用意することで成功してきたデルは、その価値が揺らいだ時に対応できなくなったのです。

・3つ目の要因

デルのパートナーだったASUS(エイスース)という台湾のメーカーが、2005年にデルの元から離れたことでした。エイスースは高い技術を持っておりマザーボードをデルが作るものより20%も低いコストで製造しデルに供給していました。デルはこのすぐれたパートナーに次々にパソコン製造業務を外注し、後年は製造関連のほとんどをエイスースが行っている状態だったようです。しかし、デルのノウハウを十分に学んだエイスースは満を持して独立し、世界五位のパソコンメーカーへと成長しました。欠かせない存在にまでなっていたパートナーを失ったデルは、大きく後退していきます。

 

世界を席巻していたデルは恐竜に例えられるかもしれません。デルの品質、経済力、知名度どれも十分に高いものでした。パソコンメーカー市場を完全に自分の領域としていました。ですが、そんなすごい力を持っていたデルも、時代の変化に対応できずトップの地位を失い、上場廃止となりました。強い力があっても、強力な個というものは思わぬ要因で対応できなくなるものという事例です。デルには販売を行うパートナーが必要でした。消費者とデルを結びつけることも必要でした。そしてエイスースに対して協働という形が取れていたら、パートナーでありつづけるメリットがお互いに十分あったなら、今のパソコン市場は違った形になっていたかもしれません。

 

価値の連鎖(バリューチェーン)

現在では大企業でさえ、企業とチャネル(流通)の統合を戦略として試みています。直通販売のように中間を無くすのではなく、中間業者と協働し、そればかりではなく同業他社とも協働し、流通全体を鎖でつなぐように統合し協働することが有効な戦略となっています。

価値の連鎖による統合によって企業とチャネルは、他の競争相手に立ち向かうためにお互いに協力して双方に利益になる機会を探すことがなければ、利益や消費者の影響を奪い合う、誰かが得をして誰かが損をするゼロサム・ゲーム(全体を足したら0になる状況のこと)の対立を繰り広げることになります。例えゲームの勝利者となったとしても、デルのように自分がつまずけば勝利はすぐに失われてしまいます。協働が無いのであれば、競争者たちはトップの座を奪い取ることが最善手になるのですから。

 

治療院の協働

全国各地から患者さまが集まってくる治療院もありますが、多くの治療院は院の存在する周辺地域が市場となります。数キロ圏内にいる「隣の治療院」とは市場を奪い合う関係ですので、距離感やライバルであるという印象を持ってしまうと思います。しかし、目的や価値観の近い相手であれば、協働することで、より大きな成功と市場の変化に対応できる安定性を手に入れることができるかもしれません。

治療院のチャネル(流通)は先生が患者さまに直接施術をするという性質上、非常に小さい範囲いにとどまります。患者さまと先生しかいないように見えるかもしれません。しかし、他にも患者さまから患者さまへ、仲間から仲間へという流通があります、これはピア・トゥ・ピアという販売の考え方なのですが、治療院にとっては一種の流通であると言えるでしょう。このチャネルをパートナーに取り込むには、地域の人々について知ることが必要です。ですが、地域についての情報を得るのは簡単なことではありません。特にスタッフの少ない治療院では調査に時間を費やすというのは現実的ではないでしょう。

協働することでこの問題を解決できます。あなたの隣人である治療院の先生は、あなたと同じ目的を持つ方です。あなたとは違う視点からあなたと同じ目的のための情報を集めています。患者さまの傾向、地域の情報、どのような施術が求められているのか、そういった傾向を集めるのに、協働する治療院が多ければ多いほど効果は高まります。誰かが得をするではなく協働した全員が得をするウィン-ウィンの関係を築く、それが我々の考える協働の姿です。

 
成功するパートナーの選び方

協働にも段階があり、相手とどこまで深く付き合うか考えることがあるかもしれません。ただ情報を交換するくらいなら問題はありませんが、パートナーに問題が発生した時に先生にも影響がでる、パートナーの影響力が先生の影響力に密接に関わるような、経営上のパートナーとなる場合には、相手との協働にそれだけの価値があるのかと悩まれると思います。

協働するパートナーで成功する条件が3つあります。

 

まず、両者ともにウィン-ウィンであること。お互いに得をする関係でなくてはいけません。この関係が上手く成立していないと、デルから離れていったエイエースのように、パートナーが離れていってしまいます。もちろん、先生が損をすることもダメです。協働とは一緒になって多くの利益を得るための戦略で、片方だけが利益をより多く得るという仕組みでは失敗することが多いです。

次に、両者ともに品質の基準を満たしていること。お互いに相手が尊敬できる技術を持っていなくてはいけません。技術に対する姿勢が同じであると、短期的な損得を超えた、長期的視点で利益を得られる関係が築きあげることができます。

最後が、価値が両立するか。おそらく、多くの方はこの点でお隣の同業他者との協働に二の足を踏んでしまうのだと思います。ですので価値の両立について少し説明をしていこうとおもいます。

 

治療院同士の価値は両立するか

価値を両立されている業界として、理容店業界があります。前にカリスマ美容院ブームがあり、今でも美容院は存在感を持っていますが、理容店は大きな影響をうけること無く安定した経営を続けていました。対して美容院は激しい競争によって、新しい店舗が開店し、古い店舗が閉店することを繰り返しています。

理容店は組合に加入し、定休日などを調整しています、もちろん組合にも理容店自身にも顧客を操作する権限はありませんが、お互いのシェアを奪わず、自分の対応できる範囲で固定客を得ること重視しています。理容店は美容院ブームや不景気にもかかわらず、理容師25万人という数で安定して推移しています。

治療院でも、シェアを奪い合うのではなくそれぞれで顧客満足度を上げ固定客を作り、固定客から他の方々へ輪を広げていく。固定客を作るために、協働し情報を交換し、どうやったら患者さまに満足していただけるのかを突き詰めていく。一人で模索するより、沢山の先生と一緒に模索する方が大きな成果を得やすいものです。満足度を高め、そして地域社会が先生に何を望んでいるのかを敏感に察知し、どうすれば対応できるのかを考える。協働することで、それはずっと効率良く、そして長期的に見ればずっと大きな利益を生み出すことができます。

 

協働は戦略

協働で検索すると、道徳的なページが多く見られますが、ミッシェル・グリーンが提唱する協働は、道徳ではなく戦略です。協働の目的は治療院の成功です。助け合うのはそれが長期的に見れば一番利益を得られ、市場の変化に対応できるからです。デルも、今では不信感を持たれていた中間業者と協働し、2009年にはパソコン販売の15%は中間業者を挟んだ間接販売による利益となっています。

目的を同じにする方々が協働することによって、より大きな利益を生み出すことを目指すことが、ビジネスとしても成功する安定した近道になると、我々は考えております。

 

*数値データ参考ソース
http://memorva.jp/ranking/sales/idc_worldwide_pc_shipments_market_share_2013.php


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