「サービス業4つのカテゴリー」と治療家の位置づけ | ミッシェル・グリーン

「サービス業4つのカテゴリー」と治療家の位置づけ

カテゴリー:マーケティング
2015年8月27日

マーケティングという視点から治療家という職業を考えたときどういう位置づけになるのか、治療院を開業し、経営やプロモーションなど、どうすれば治療院に患者さまを集客し、経営を改善していけばいいのかを考えていらっしゃる先生にとって重要な視点です。治療家というお仕事がどういうものなのか、治療家の視点から見たときについては先生もよくご存知かもしれませんが、マーケティングの視点から見たときに初めて見えてくるものがあるかもしれません。

 

サービス・マーケティングの特異性

マーケティングの手法や考え方は数多くありますが、サービス・マーケティングは「サービスには在庫がない」「無形要素がサービス価値を生み出す」「時間が重要な要素である」「顧客がサービスの価値を左右することがある」など、製造業を基準に作られたマーケティングではそのままの適応はできない部分も多くあります。サービスにはサービスのマーケティングが必要です。

 

サービス業4つのカテゴリー

製造業のマーケティングでは、物が製造されるプロセスに関してマーケティングとしてあまり詳しく分類する必要はありません。ボールペンを作っている工場もロケットエンジンを作っている工場も、同じく工場で人を使って物を作るというカテゴリーでマーケティングは対応できます。

ですが、サービスでは「何に対して」「形はあるか」という要素によって、まったく内容が異なります。美容院で髪を切るのもサービスですが、壊れた機械を修理するのもサービスです。この二つを一つのマーケティングで対応するというのは難しいものです。顧客が生産プロセス関わる…美容院なら髪を整えるのに顧客が一緒にいることが欠かせないなど、そして治療院であれば施術を終えるまでコミュニケーションを取りながら患者さまと触れ合います。そのため、生産性を高くするだけではなく顧客の好みに合うサービスの手順を考えなければなりません。

サービス業4つのカテゴリーは、このサービスの手順という点に着目した分類です。人か物か、有形か無形か、この二つの要素を組み合わせて4つに分類します。

 

物に対して、有形の行為「物」 修理、輸送、設置など

有形資産…テレビやエアコンや、植木など物の修理や整備、輸送、設置、破棄などを行うサービスです。顧客との関与は限定的で、またサービス対象が物であるため製造と同じ様に、サービスを生産プロセスと、それを消費する(完成した物を使う)ことが別々に分けて考えることができます。

4つのカテゴリーの中で、もっとも製造業的であり、サービス的ではないカテゴリーになります。

 

物に対して、無形の行為「情報」 会計、法務、調査、コンサルティングなど

無形資産…情報を扱うサービスです。データを処理したり、法律に関する問題などを解決するようなサービスです。パソコンの発達によって大きく有り方を変えてきたカテゴリーで、専門性の高さから高い評価(報酬相場)を受ける業種もあります。

 

人に対して、有形の行為「身体」 美容、医療、旅行、宿泊など

人の身体や本人を対象とするサービスです。顧客自身がサービス手順に組み込まれているのが特徴です。また顧客に対して髪を整えたり、旅行を案内したり、ホテルで快適に宿泊してもらうといった、明確な「顧客に何が起こるのか」という形のある結果がともないます。

十分に顧客から満足したという評価を引き出すためには、顧客に対してこちらから誘導して一緒にサービス活動を完成させるという意識が必要です。顧客の負担として、金銭以外に、時間や精神的・肉体的負担があります。さらに、恐怖や苦痛を感じることもあります。製造業では無い人という要素が、これらのサービスを特殊なものにしています。

顧客に何が起こるのか、という視点がこのカテゴリーでは重要です。

 

人に対して、無形の行為「心」 教育、カウンセリングなど

心を対象とするサービスです。顧客の心に作用しますので、顧客の態度や行動に大きな影響を与えます。一部の詐欺もこのカテゴリーを悪用したものと言えます。顧客は依存的立場にあることがありますので、サービス提供者には強い倫理観が必要です。

「身体」に対するサービスと比較すると、顧客の存在がサービスを完成させるのに必要不可欠ですが、より顧客側に自主性と努力が必要になります。旅客機では顧客は眠っていても目的地にたどり着けますが、教育は顧客が目を開けて知識を得るために努力をしなくてはいけません。また、直接サービス提供者と顧客が同じ場所にいる必要はなく、電話など提供される情報に接することができれば成立します。

 

治療家の位置

4つのカテゴリーのうち、治療家は人に対して、有形の行為「身体」に対するサービスになります。そのため、患者さまという要素が治療院のマーケティングには必要不可欠です。患者さまが何を求めて来院されるのか、治療院に来院された患者さまに何が起こるのか、この二つを一致させるか、または良い方向へ上回ることが患者さまが「来てよかった!先生ありがとう!」と満足する鍵となります。

しかし、治療院はこれだけではなく、人に対して、無形の行為「心」の要素もあると思います。生活習慣の改善といったアドバイスなどもそうですが、身体を改善すると同時に、先生とコミュニケーションを取ることでこれまで症状によって心まで傷ついていた患者さまが、元気になられるということもあるのではないでしょうか?

「心」を対象にするサービスは、患者さま自身にも主体的な意志が必要になります。その意志を引き出しやすい治療院を目指すことで、患者さまは先生に対して強い信頼を感じるようになります。そうした信頼を得た患者さまは、先生の治療院に何度も来院されるリピーターとなるでしょう。

この分類は、参考になる他のサービス業について指針にもなります。自動車修理工よりも、旅客機の客室乗務員の方が、治療家のマーケティングにとって参考になる部分が多いという考え方もできるのです。もちろん、そのまま使える知識や手法というのは少ないですが、同じカテゴリーのサービス業から受けた刺激が、治療院の全く新しいイノベーション(革新)につながるかもしれません。

治療家という人の身体と心を扱う仕事は、製造業とは違った戦略、考え方が必要です。治療の技術が大切なのは間違いありませんが、同時に患者さまという人の要素もしっかりと加味して治療院の経営・プロモーションを考えることで、より効果的に先生の施術を必要とする多くの人と先生を結びつけることができるでしょう。


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