ネットから現実(リアル)へ 「O2O」 | ミッシェル・グリーン

ネットから現実(リアル)へ 「O2O」

カテゴリー:マーケティング
2015年9月14日

O2Oはオンライン・トゥ・オフラインの略で、On2Offと表現されることもあります。

ネット(オンライン)から、ネットの外である現実世界での行動を促すインターネット・マーケティングの手法がO2Oになります。

もっとも簡単な例としては、飲食店がホームページで割引クーポンやサービス追加クーポンを提供し来店を促したり、グーグルマップなど位置情報サービスに情報を提供して店舗の位置をオンラインから分かりやすくするといった方法です。

またインターネット・マーケティングは成果の評価が難しいという傾向がありますが、O2Oはどれだけ店舗に結びついたか、クーポンであればクーポンをどれだけ利用したか数を数えることによってとても簡単に評価することができ、施策したマーケティングが有効に働いているか判断できることも特徴になります。

 

ネットとお店の壁を壊す!

上であげた例はシンプルなものですが、2015年現在、このO2Oを活用するインターネット・マーケティングが注目されています。ネットのお手軽さと、店舗販売のサービスの良さ、この二つを隔てる壁を壊し、それぞれの利点を上手く融合するマーケティングが一定の成果を見せています。

東急ハンズは、O2Oに力を入れている企業の一つで、2014年11月にリリースした「東京ハンズアプリ」は約2ヶ月で7万ダウンロードを記録しました。カード機能のようなよくある購買促進アプリの主要機能はもちろん、東急ハンズのキャラクター「コレカモ」を使った「コレカモ成長日記」のようなゲーム性を交えた手法で、東急ハンズファンを拡大しました。

東急ハンズは他にも、O2Oでさまざまな試みを実施しています。面白い手法ばかりですので、少し詳しく紹介していきます。

 

東急ハンズのO2O

2009年にはいち早くTwitterを始めとしたソーシャルメディアを運用し、顧客とオンラインでのコミュニケーションから来店へとつなげるマーケティングに試みていました。

東急ハンズのO2Oは、クーポンよりもさらに一歩進み、実用性とワクワクを提供することを目指しています。東急ハンズにもネットストアはあるのですが、この在庫検索機能をリアル店舗にも拡大し、インターネットで全国の在庫を確認し、商品があると分かってから実際に買い物に行くというサービスが提供されています。ポイントはデータ更新の頻度で、15分に1度とかなり頻繁でデータが更新されます。ほぼリアルタイムと言っていいでしょう。

ワクワクする仕掛けとして東急ハンズのホームページの上部には、全国で今売れたモノがリアルタイム流れるようになっています。「今、コレ売れました!」と全国のお店で、たった今レジを通過した商品画像が表示されるのです。その表示をクリックすると、商品の詳細情報が表示され、見た人に自分も買ってみようかなという気持ちを沸かせることになります。

ネット(オンライン)と現実(オフライン)がシームレスに繋がること、人件費を削減して安くすることがネットのメリットではなく、ネットで興味を持ってもらい、店舗で店員さんからさらに詳しい話や、もっと合ったモノがないか提案してもらう。インターネットマーケティングによって東急ハンズがこれまで培ってきた店舗体験のワクワクを捨てるのではなく、両方活かす。オンラインだけでもオフラインだけでも成立しないマーケティングが、今効果を上げているのです。

 

他にもあるO2O、6つの事例

○NEXCO西日本

NEXCO西日本から提供されているスマートフォンO2Oサービスアプリ「Toxco」も評価されているモデルの一つです。このアプリは高速道路のサービスエリアに設置されている端末と連動し、自動的にそのサービスエリアで利用できるクーポンやゲームが使えるようになります。オンラインの持つ位置情報機能を使ったO2O事例です。

 

○博報堂

博報堂は位置情報機能をそのまま使うのではなく、ゲーム要素と組み合わせることで現実のサービスを促進させています。ユーザーは「クエスト」という形で目的を与えられ、実際に観光地巡りやスタンプラリー、スポーツ観戦などを行い、その行動がアプリに反映されるというものです。内容としては観光案内モデルというわけですが、それをゲームのように、「クエスト」をクリアしていくという遊び心を加える事によって、より楽しい観光案内モデルになっているというものです。

 

○ドミノピザ

SNSを使ったO2Oもさまざまな試みがされています。ドミノピザはFacebookを使いクーポンのお知らせをおこなっていますが、2013年に行ったサービスに「ドミノジャンポあみだくじ」というものがありました。ドリームジャンボ宝くじのダジャレですが、50%引きという大きなクーポンもあれば、25円引きというネタにしかならないハズレもあります。何人が当たりを引き、何人がハズレを引いたのかも表示されるようになっており、クーポンを渡すことに楽しさを加え、店舗に来店することを促すO2Oの事例です。
 実際に、このイベントは大いに情報が拡散されたようです。

 

○TUTAYA

全国に展開しているTSUTAYAでも、ネットから探している映画やCDを、どこの店舗にいけば借りられるのか分かるようになっています。さらに、TSUTAYAではスマートフォンのNFC(近距離無線通信)機能を使い、商品パッケージを所定位置にかざすだけで、予告編などが視聴できるキャンペーンを行いました。これはO2O2O、つまりオフライン→オンライン→オフラインというというべきマーケティングの好例です。

 

○コカコーラ・マクドナルド・Jリーグ

クーポンをスマートフォンなどに配信する手法は、新規顧客の獲得や再来店を促すことができるO2Oのもっとも基本的な施策の一つです。ですが、クーポンにコラボを組み合わせることで、より多くのマーケティング成果を出すことができます。Jリーグ20周年を記念して行われたコカコーラ・マクドナルド・Jリーグが共同で行ったO2O施策はその一例です。

コカコーラとマクドナルドが中心となったそのサービスは、Jリーグに所属するクラブの中から応援するチームを選び、そのチームが勝つとマクドナルドで使えるクーポンが配信されるというものでした。マクドナルドを利用する層は、Jリーグに関心を持つきっかけとなり、Jリーグを観戦するけれどマクドナルドをあまり利用しない層にとっては、応援するチームが勝って配信されたクーポンをせっかくだから利用したいという気持ちにさせることになります。そしてコカ・コーラはマクドナルドを利用するお客が増えればコカ・コーラの売上も上がるという、全員がWin-Winになる理想的なコラボレーションです。

 

○マクドナルドスペイン

ここまでしっかりと企画された事例を紹介してきましたが、最後の事例はお金をかけずにアイディアの勝利というべきO2Oを紹介してみます。

スペインのマクドナルドでの事例です。マクドナルドでは世界的に、無料で使えるWi-Fiを設置しています。無料Wi-Fiサービス自体はマクドナルドのみならず数多くの飲食店で提供されているサービスです。ですが無線という性質上外の顧客でない人にまで利用されてしまうという難点があります。

しかしスペインのマクドナルドは、難点を難点だと思わず無線というオンラインから店内というオフラインへつなげる機会だと捉えました。マクドナルドが行ったサービスは単純なもので、Wi-Fiの設定をオンにしたときに表示される「使用可能な無線LANネットワーク一覧」の名前を変更し、「2時です。コーヒーブレイクの時間ですね」や「マクドナルド店内では無料のWi-Fiに加え、無料でサンデーもプレゼントしていますよ」など、メッセージ風に変えました。

これならコストをかけずに、これまで接点の無かったユーザーを取り込むことができます。

 

O2Oを実施する3つのポイント

整骨院、接骨院、整体院でもO2Oは集客に大きな効果を発揮する可能性があります。単純なクーポン配布から、システム業者に外注するような高度なサービス、独創的なアイディアによって生まれるみんなをアッと驚かせるようなサービス。O2Oは、先生の治療院に合わせた規模で、さまざまなパターンのサービスが考えられます。

O2Oを実際に実施をする場合、押さえておきたいポイントが2つあります。これまで紹介した企業は、この2つのポイントをしっかり押さえているからこそ成功したのです。

① 店舗への送客のプロセス

オンラインからの集客方法は様々なアプローチがありますが、一つ重要な考え方として「顧客時間」というものがあります。「顧客時間」とは店舗におとずれている時間だけではなく、訪れる前のどの店、どの商品を選ぶか検討している時間や、購入後どのように使用しているのかという一連の時間を「顧客時間」と考えました。

「顧客時間」がどのように使われているのか考えることが、O2O一つ目のポイントです。

店舗にいるところだけを見るのではなく、購入前何を考えているのかを知る。これまではカタログを送っても、そのカタログをどうやって使っているのかは分かりませんでしたが、オンラインではユーザーがどんなページをどれくらい見ているのかを知ることができます。そこから顧客のことを知り、どうすれば店舗に送客できるのかを考えることで、次のマーケティングを生み出すキッカケにもつながるのです。

② 顧客とのコミュニケーション

O2Oを取り入れる企業はよくTwitter、FacebookといったSNSを活用し、ユーザーの声を取り入れてサービスに反映させています。なぜユーザーの声をそこまで大事にするのでしょうか?それはSNSをの発展によって、ユーザーが情報発信源となっているからです。口コミやいいね!の量が、他のユーザーがそのサービスの価値を判断する材料にすらなります。Facebookで数千人がいいね!を押した商品は、ほんの数日で売上が1.5倍も増加したそうです。

SNSというオンラインと実際の店舗を結びつけるというO2Oの考え方が、SNSと深く結びついています。

 

治療院で行えるO2O

クーポン配布のような簡単なものならともかく、より複雑なO2Oは、大規模なネット会員を抱えている企業のものと考えている方もいます。しかし、治療院のようなスタッフが対応できる患者さまが最大顧客数となるような場合であっても、O2Oの考え方を治療院に導入できないか検討すべきだと思います。まだ他の先生が取り入れていない先生だけの手法が、先生だけの市場を創りだすことにつながります。

 

まず行えることはコミュニケーションです。

ホームページ、ブログ、TwitterやFacebookといった情報発信の場で、ユーザーと先生双方向からのコミュニケーションの場を作ることが大切です。ある全国展開している企業ではは、Twitterの1日のツイート数は20回から30回、ですがその中で商品説明は平均5回未満。ではそれ以外は何をツイートしているかというと、お礼や質問への返答、クレームに対するお詫びなど、コミュニケーションに費やされています。

ネットは顔を突き合わせるコミュニケーションではありません、それどころかリアルタイムでもないので相手から投げかけられた言葉に対して冷静になる時間があります。ですが、それはその言葉に対して自分は最初どう感じたかという部分、現実のコミュニケーションのような”熱”を無視するべきということではありません。対面して行う時と同じ様に、「コミュニケーションする」という意識もとても大切です。

そんなに簡単にユーザーからの声は来ないだろうと思われる先生もいらっしゃるかもしれません。確かに今までずっと独り言のようにツイートしていた企業のアカウントとコミュニケーションを取ろうとするユーザーは少ないでしょう。ですので、先生の方から質問を投げかけたり、フォローしてくれたユーザーのツイートにコメントを返したり、「先生がユーザーに興味を持つ」ことが有効です。

大企業ではそのような細かい対応は難しいでしょう。しかし一人一人に直接施術を行う治療院であれば、こうしたユーザー一人一人に合わせたO2Oも可能です。

ネットはネット、リアルはリアルではなく、ネットとリアルの壁を崩す。ホームページを単に治療院を紹介するツールにするのではなく、ホームページを楽しみ、そして現実の治療院の魅力をより高めるためにはどうすればいいのか、それがO2Oの目的です。


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