顧客感動、人の心が動く3の事例 | ミッシェル・グリーン

顧客感動、人の心が動く3の事例

カテゴリー:マーケティング
2015年9月10日

マーケティングにおいて顧客感動とは、顧客の理想をさらに上回ったことで顧客が感動を感じるような状況のことです。

整骨院、接骨院、整骨院など治療家の仕事は人間の身体に作用するものです。人間にとって誰だってもっとも大切なモノの一つとして自分の身体が入ると思います。その身体を預けることになる、治療家は、患者さまから深い信頼を得ることができやすい業種です。

深い信頼を得た患者さまは今後も身体に異常があらわれたら先生に相談するようになります、先生のことを身体と健康の専門家である治療家として頼り、まず治療院の範囲ではない怪我や症状でも先生に相談してくるようになります。そこで「自分には治せないが、○○病院(または○○科の病院)がいいと思います」などと教えてあげることができれば、それだけでもさらに先生への信頼は固いものとなります。

しかし、逆に言えば信頼を得られなければ患者さまはもう一度先生を頼ろうとは思わず、また症状があらわれたら別の治療院を探そうとします。治療家にとって、患者さまからの信頼は非常に重要な要素となります。

顧客感動は、その信頼につながる大きなキッカケです。顧客を満足させることが信頼につながりますが、それを超える、顧客が予想もしていなかったような感動、「顧客感動」を与えることができれば、患者さまは先生の「ファン」になります。

顧客感動がどういうものか説明するのは少し難しいです。なぜならば、顧客感動は顧客が予想もしなかったサプライズを与えなければならないからです。予想できない感動のサービスとは何かを説明するのは、このようなマーケティング手法として説明するのではなく、実際にあった事例として説明したほうが伝わりやすいと思います。

今回は、顧客感動を与えたサービス業の事例を3つ紹介してみます。

 

マニュアルに無いお子様ランチ(東京ディズニーランド)

紅葉の綺麗な頃、東京ディズニーランドをある若い夫婦が訪れました。二人はディズニーランド内にあるレストランに入り9歳以下限定の「お子様ランチ」を注文しました。もちろん子供のいないカップルに対してはお断りするようにマニュアルにも書かれています。

しかし二人の様子は悪ふざけをしているものではなくキャスト(アルバイト)は
「失礼ですが、お子様ランチはどなたが食べられるのですか?」
と尋ねました。
「死んだ子供にために注文したくて」
こう告げた奥さんに、キャストはとても驚きました。
「私たちの娘は生まれつき身体が弱く一歳の誕生日を待たずに神様のもとに召されてしまって…それで、あの子の一周忌に、いつかみんなで来ようと話していたディズニーランドに来たんです。その…ここはお子様ランチあるって書いてあったので、思い出に…」
キャストの青年はマニュアルのことを思い浮かべましたが、そんな夫婦を見て考えを変えます。
「そうですか、では召し上がってください」
それから子供用の椅子を一つ用意して、「お子さんはこちらに」と、まるで亡くなった子供が生きているかのように小さな椅子に導いたのです。
そして三人分のお子様ランチが運ばれてきたのです。スタッフは礼儀正しく告げました。
「本日はよく来てくださいました、“ご家族”でごゆっくりお楽しみください」

後日、夫婦から東京ディズニーランドに手紙が届きました。
「お子様ランチを食べながら涙が止まりませんでした。まるで娘が生きているように家族の団欒を味わいました。こんな娘との家族団欒を東京ディズニーランドでさせていただくとは、夢にも思いませんでした。これから、二人で涙を拭いて生きて行きます。また、ニ周忌、三周忌に娘を連れてディズニーランドに必ず行きます。そして、私たちは話し合いました。今度はこの子の妹か弟かをつれてきっと遊びに行きます」と…

ディズニーランドの手紙として知られるこのエピソードは結構知られており、もしかすると知っておられた先生もいらっしゃるかもしれません。このマニュアルを破ったキャストは、ディズニーランドでも賞賛されたそうです。このような顧客側に立って考える姿勢がディズニーランドの高いリピーター率を支えているようです。

 

極上の馬刺(阿蘇の居酒屋)

九州熊本阿蘇山の麓、菊池温泉に行かれた方の話です。

楽しい宴会が終わったあと、その方は無性に阿蘇名物「馬刺」の極上を食べたくなり、旅館のお姉さんに美味しいお店を教えてもらいました。旅館から700メートルくらいのところにあるお店でした。
「でも、外はあいにくの土砂降りですよ」
とお姉さんは言います。なるほど、外はすごい雨。ですが、めったに来れない阿蘇、その人は傘をさして出かけて行きました。

お店はお姉さんに言われた通りこじんまりとしたお店で、暖簾をくぐると、店の大将が一人で座ってテレビを見ていました。この雨なので客なんて来るわけがないと思っていたのでしょう。
「あのぅ、美味しい馬刺が食べたいのですが」
「はあ、いらっしゃい」
その時、男の服は浴衣で旅館から歩いてきたのが分かりました。こんな雨の中旅館から歩いてきた変な客だと思ったのか、大将は不思議そうな顔をしていました。
彼は一万円を差し出して、
「関西から来たんやけど、これで美味しい馬刺食べさしてんか」
と聞きました。すると大将はたちまち顔色を変え、
「申し訳ないけど20分ほど、テレビば見ながら待っといて、冷蔵庫にビールも焼酎も酒あるばい。熱燗して飲んでもよか」
そう言って大将は奥へ引っ込んでしまいました。
冷蔵庫を開けてみると、なんと馬刺がタッパに入って置いてある。「ここに馬刺あるのになんでなんやろ?」と、今度はお客の方が不思議そうな顔をすることになりました。

そう思いながら待つこと30分。大将がずぶ濡れになって帰ってきました。
「ごめんごめん。せっかく遠いとこからこん土砂降りのなか来てくれたんで嬉しくて。冷蔵庫にゃあるんだけど、うまかものって言ってくれたもんで、やっぱ極上食べさしたか。ほっで今日さばいたばかり肉を取りに行ってたんよ」
そう言って大将が出してくれた「極上の馬刺」美味しかったこと。馬刺の極上も大トロの極上と同じで、口の中で溶けるように旨味が広がり、しかもお酒に合う!
そうして飲んだり食べたりしていると、大将もお酒が好きなようで、
「こげな雨ん日に他の客が来るわけなか」
と暖簾を下げて店を閉じると、お客の男と一緒に飲み始めました。盛り上がってくると、この店を勧めてくれた旅館のお姉さんやその仲間まで呼び、一緒に飲み始めました。
馬刺だけではなく、九州の「うまかもん」のオンパレード、夜中の一時まで大いに楽しく騒ぎました。

さすがにこれは1万円じゃ足りないと男は支払いをしようとしたのですが、大将は受け取らず。
「なぁん、俺がみんな勝手に呼んだもん、気にしなすな。こん雨の中わざわざ俺の店に馬刺食べに来てくれて嬉しかっただけたい」
と言って、さらに「阿蘇のうまかもん」である焼酎のお土産までつけてくれました。

お客の方も、そのお店と大将のことをとても気に入り今でも菊池温泉に行くときには、宴会の後必ずそのお店に行くそうです。

この阿蘇の大将は決して器用に接客できるタイプではないと思います。この方も、最初はとっつきにくい印象を受けるけど、話してみるととてもいい人と大将の印象を語っています。
ですが、せっかく来てくれた客に最高のものを食べさせたいという心意気が、お客に感動を与えています。

 

2年間通い続けてくれた買わないお客さん(紳士服店)

関西のあるメンズ服を扱うセレクトショップでのお話です。

週末になるといつも来店し、店内を巡って商品を手に取り一人で「なるほど」と満足し、最後は「ありがとう」と言って帰って行くお客がいました。商品を買うことはないのですが、それでも毎週やってきては「なるほど」「ありがとう」と言って帰っていきました。
最初の頃は不思議に思っていたオーナーでしたが、冷やかしであっても背広に興味が無いわけではなく、しっかりと売り物のスーツを見ていることは分かりました。

オーナーはその男性が来店すると快く対応しました。オーナーの持論は、「よろしければ手にとって見てください、試着してください」は言わないことで、そんなもの興味があれば言われなくても自然にするはず、本当の接客はそういうものじゃないというものでした。
そのためオーナーはその男性とは服の話をせず、日常会話を中心に接客を続けました。

そんな日々が続き、男性が店に通い始めてから約2年経った頃のことでした。いつもと少し違う様子のその男性が言います。
「今日おにいさんからスーツを作りたいんです、ハインリッヒも買います」
「えーーー!?」
「ずっと、冷やかしなのに一回も嫌な顔もせず、気さくに話してくださって本当にありがとう。僕は裕福ではないので…ずっとおにいさんから買いたいと思っていたんですけど、キッカケがなかなか無くて。でも、今度結婚式があるんでそのタイミングに買おうと思って」
「そうだったんですか…」
「ここのお店、なんか落ち着くんですよね」
男の人は少し恥ずかしそうにそう言いました。
接客業をやっていてこういう瞬間が一番やりがいを感じると、そのオーナーは言っています。

2年間何も買わないお客と思わず、決して気軽に入りやすいお店ではないメンズセレクトショップに2年間も通い続けてくれたお客であり、通ってくれるからには理由があるはずだと、気さくに応対したオーナーの姿勢が、その男性からの信頼と感動につながりました。

 

感動を生み出す条件

いかがでしたでしょうか?私はどのエピソードもとても好きです。

これらのエピソードは、それぞれの場面でしか活用の出来無いものです。どうすれば顧客が感動するのかは、業界、場面、そして顧客一人一人によって違います。

ですが、一つだけ共通する点もあります。それは、どれも感動させた顧客のことを愛しているということです。売上や生産性を第一に考えず、この顧客が喜ぶのはどうすればいいかを考え、自分の考えを実行したからこそ、顧客満足を超える「顧客感動」に到達したのだと思います。

感動によって築かれた信頼は、末永く、もしかすると生涯に渡る付き合いにもなるリピーターへとなるかもしれません。


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