5つの分析から見る競争の戦略、ファイブフォース分析 | ミッシェル・グリーン

5つの分析から見る競争の戦略、ファイブフォース分析

カテゴリー:マーケティング
2015年9月4日

ファイブフォース分析とは特定の業界の構造を理解するための分析手法です。ファイブフォース分析により、業界内の競争がどのようなものなのかを理解することができ、業界の競争のメカニズムと、収益性を把握することができます。

ファイブフォース分析は、特に「競争」に焦点をあてた分析手法で、5つの要素(ファイブフォース)によって、業界の構造が決まり、どのような競争が繰り広げられるか、業界と業界競争の性質を明らかにしようという考え方の分析になります。

私たちは、「競争」より「協働」という考え方を持っていますが、マーケティングについて解説するのならば、「競争戦略」についても解説しなければ「競争」と「協働」の比較はできないと思います。今回は主な競争戦略である「ファイブフォース分析」について解説してみます。

 

そもそも競争とは?

きょう‐そう〔キヤウサウ〕【競争】

[名](スル)
1 互いに同じ目的に向かって勝敗・優劣をきそい合うこと。「生産高を競争する」「競争力がある」「生存競争」
2 生物の、ある生息空間や食物をめぐる相互作用。異種どうしの種間競争と同一種どうしの種内競争がある。

デジタル大辞泉によると、競争とはこのような意味を持つ言葉だそうです。
マーケティングの世界に当てはめると、シェアを共有する同業他社より、優れているものを提示して利益を相手から奪うということになるでしょう。

 

ファイブフォース分析、5つの要素

ファイブフォース分析は、業界の競争が以下の5つの要素によって分析できるという考え方です。

業界内的要因

 ① 業界内の企業
 ② 買い手の交渉力
 ③ 売り手の交渉力

業界外的要因

 ④ 将来の新規参入者
 ⑤ 代替品の脅威

 

① 業界内の企業

競争による収益性は、企業同士競争の激しさの度合いと、競争している対象に左右されます。業界内で敵対関係が強ければ強いほど、競争は激しさを増します。競争を強くする要因には、以下の要因があります。

 ・同業者が多い、また全体数はそうでなくても似た規模の企業が多い
 ・業界の成長が遅い
 ・固定コスト、在庫コストが高い
 ・製品の差がないか取引先を変えるのにコストがかからない
 ・キャパシティ(生産能力)の増加を小刻みに変えることができない
 ・競争業者がそれぞれ全く違った戦略を持つ
 ・撤退を思いとどまらせる要因(撤退障壁)の多さ

これらの要因から分かる傾向は、同業者同士に差がつきにくい業界ほど、激しく競争するとうことです。また差がつきにくいため戦略で差をつけようとするあまり、より業界内の競争は激化します。というのも、異質な戦略同士では、ある企業によって正しい考え方がある企業にとっては誤りであったりして、競争上のルールというものが存在しなくなるからです。

戦争にすらルールがあるように、ルールの無い競争は顧客を増やすことよりも顧客を奪うことの方が効率が良くなり、市場規模が成長しない業界となります。

 

② 買い手の交渉力

買い手とは、業界から製品やサービスを購入する者、つまり顧客を指します。買い手が業界に対して強い力を行使できるとき(買い手市場であるとき)、顧客は値下げしようと要求したり、競争させることで安いコストで高い成果を得ようとします。

その業界の競争は激しくなります。逆に、売り手市場であるなら、収益性も向上しその業界は企業にとって良い環境であるといえるでしょう。顧客が支払うコスト、顧客が新しい取引先を見つけるのにかかる費用などによってこの要素は変わります。

 

③ 売り手の交渉力

ここで言う売り手とは、業界に製品やサービスを供給する業者になります。治療院でも使われる治療機器の製造業界で言うならば、治療機器メーカーが業界、部品メーカーが売り手ということになります。この売り手が強い場合も、業界の競争は激しさを増します。

 

④ 将来の新規参入者

この要素は、今後どれくらい新規参入者が業界にあらわれるかというものです。

業界への新規参入の脅威度は、新規参入が業界に参加しようとしたときに、どれくらい障壁があるかによって変わります。障壁の要素としては、規模相応の経済性が働いているか、巨額な投資が必要か、製品の差別化は可能か、流通経路の確保が容易か、政府からの規制はあるか、などがあるとされます。

中小企業が主となる業界において独自技術と特許が好まれるのは、この障壁を高くすることができるからです。

 

⑤ 代替品の参入

ここでいう代替品とは、既存企業が提供する製品・サービスと同じようなニーズを叶える製品・サービスを指します。業界にとって脅威となるのは、既存製品よりも性能的に上回る代替品を、同価格、あるいは安価で提供する場合です。生産プロセスや流通経路などまったく異なることがあるので、既成品では太刀打ち出来ないような差が生まれることがあるのです。その場合、業界の競争が激化し、既成品の価格低下、収益低下により業界内は大きな混乱が発生します。

VHSに対するDVD、CDウォークマンに対するMP3プレイヤーなど、時に業界を完全に変化させてしまうようなケースもあります。

 

ファイブフォース分析のまとめ

要素ごとに分け、それぞれの要素に、当て嵌めていきながら考えていくのがファイブフォース分析です。比較的シンプルな分析法で、他の業界でのケースと特徴を覚えておけばお金のかかるデータ収集や、専用ソフトで計算する必要があるようなものではありません。

業界分析は、業界の競争の構造と収益性の主な要因をきっちり理解・把握することです。このとき、「今」の収益性を見るのではなく、3~5年「先」を見るようにすると、瞬間の収益ではなく業界の「平均収益性」を導き出すことができます。

 

競争に勝つということ

これがファイブフォース分析です。この分析手法によって、業界の競争要因を明らかにし、先生の治療院の立ち位置や、業界のファイブフォースと比較すること治療院の強みや弱みを明らかにし、長所短所を踏まえた、「競争戦略」を立てるという方法です。

では競争に勝った結果得るものとはなんでしょう。それは市場のシェアです。同業者からシェアを奪うことによって利益を上げるというのが競争の戦略です。シェアを奪い合うというのは短期的に見れば得をしているように見えますが、新規開拓という点では、市場の成長が鈍っている状態になります。

マーケティングの究極の成果とは、「競争しないこと」です。競争しないとは、先生の治療院だけの市場を作ることです。「先生じゃないとだめ」、「先生に出会えてよかった」と言ってくれる顧客を作ることが、もっとも高く、そしてもっとも安定した成功を得ることができます。このような先生のファンと言うべき熱烈なリピーターがいれば、他の先生と患者さまを奪い合うような「競争」はしなくてよいのです。

つまり、先生のファンを「先生が対応できる数だけ集客し」、「ファンに満足していただけるような治療院のシステムを企画し」、「ファンとなる先生を必要としている方々に伝え」、「ファンが満足できる値段で提供する」、それぞれの活動に一貫性を持たせるのがマーケティングの役割なのです。


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