競争の戦略:3C分析とその弱点 | ミッシェル・グリーン

競争の戦略:3C分析とその弱点

カテゴリー:マーケティング
2015年9月7日

3C分析とは、市場を分析し、自社の課題の発見や成功要因を見つけるための手法です。フレームワークに従っていけば市場を分析できるというもので、ファイブフォース分析と同じ様に競争の戦略として使われます。

競争戦略の書籍などでよく紹介されている手法なのですが、有効な戦略や実行計画を導き出すのは容易ではありません。分析するために、それぞれの要素に当て嵌めただけで満足してしまうという方が結構いらっしゃるようです、

正しい3C分析の使い方と、その弱点をを知ることで、3C分析を治療院のマーケティングに「使うべきか」という点から参考になれば幸いです。

 

3C分析の目的

3C分析の目的は様々ですが、幅広い範囲で使える手法です。企業レベル、事業部レベル、製品単位レベル、さまざまなレベルで3C分析が行われてきました。

3C分析は、自社が事業を行うビジネス環境を分析するためのものです。「顧客:Customer」「競合: Competitor」「自社: Company」、この三つの要素を分析することで自社の置かれている状況、そして「成功するためにはどうすればいいのか」を導き出します。この三つの要素の頭文字を取って、3C分析というわけです。

顧客、競合、自社という組み合わせは、当たり前といったら当たり前なのですが、この3つを選んだというところが3C分析が評価された理由です。

ですので、3C分析を行う過程として、それぞれのCを明らかにしなくてはいけません。

 

ステップ1:Customer 顧客の分析

3C分析ではまず顧客の分析から始めます。自分がどのような人々に対して取引をしようとしているのか、それを知らなければ最初の一歩が踏み出せません。

ピックアップするポイントとしては、市場規模(治療院業界なら治療院周辺のサラリーマンや主婦といった特定層の人口統計などでしょうか)、ニーズ、購買決定プロセスといった観点で要素をあげていきましょう。

注意する点として、3C分析の顧客分析で明らかにすることは、市場や顧客のニーズの「変化」です。ある瞬間のデータではなく、それぞれの項目でどのような変化が起こっているか、そこから今後どのように変化していくのか、これを予想するようにしましょう。

 

ステップ2:Competitor 競合の分析

3C分析の競合分析は、競合(ライバル)が顧客と市場の変化に対して、どのように対応しているのかを知るのが目的です。

ピックアップするポイントとしては、競合がどのような成果をだしているか、その成果をだしている理由とはなにか。この二点に注目して分析を進めます。

成果を分析するには、成果だけでなく成果を出すのに使ったコストにも注目しましょう。治療院で言うのなら、来院者数や売上だけでなく、スタッフの数、店舗数、土地代などもチェックしましょう。

成果を出している理由の分析は、一般企業であれば、製品の開発、仕様、製造工程、販路、マーケティング、営業、アフターサービス…といったビジネスに関するあらゆる仕組みを調査し、なぜ成果を出しているのか、高い効率となっているのはなぜか、そしてどこにまだ改善の余地があるかを探し出します。

ここでもある瞬間を切り出すのではなく、ステップ1で分析した顧客の変化に対して、どのように競合たちが対応しているのかにも注目しましょう。上手くいっているのか?上手くいっていない部分はどこか?そこに活路があるというのが、3C分析の考え方です。

 

ステップ3:Company 自社の分析

3C分析の自社分析は、ステップ1の顧客分析、ステップ2の競合分析をまとめる作業です。これらの分析結果と先生の治療院とを比較することが目的です。

自社分析を行いながら、競合の良い点を取り入れ、競合がカバーできていない領域に進出するなど、成功するにはどうすればいいのかを探ります。

 

ステップ4:3つの分析を組み合わせる

3Cだから3ステップというわけではありません。この4ステップ目こそが3C分析のキモです。
ここまで作ってきた3つの要素の間に、さらに3つの矢印を書きましょう。

 ① 顧客が先生の治療院と競合する治療院を比較する、ということを表す顧客→自社という矢印
 ② 先生の治療院が顧客に価値を提供する、ということを表す 自社→顧客という矢印
 ③ 先生の治療院と競合する治療院を差別化、を表す 自社→競合という矢印

この矢印の中にこれまでの分析で思いついてきたことを書き込みます。3C分析の過程で、他の要素と関連して要素をあげてきたと思いますが、最後に改めてステップ3でおこなった自社の成功するための方向性と、矢印に書かれた要因にズレがないか確認するのです。

「先生の治療院のどの強みを活かして競合と差別化し、顧客となる患者さまにどのような価値を提供するか」

この答えを導き出し、分析とズレがないことを確認できたら、3C分析は完成となります。

 

3C分析の弱点

3C分析は優れたマーケティング・ツールです。膨大なデータを収集しなくても、手元にあるデータだけでもそれなりに効果のある分析結果を導き出すことができます。治療院全体から、一つの施術方式にいたるまで、さまざまなレベルでの分析も可能です。

しかし3C分析では現在の著しく変化する市場に対して対応しきれない弱点があります。3C分析を利用する前に、特に影響の大きい弱点について知っておくべきでしょう。

 

少し昔の話になりますが、ハンバーガーチェーンのマクドナルドとロッテリアの話をしましょう。

1990年台後半、マクドナルドはバブル崩壊後デフレ時代に対応する、バリューセットを販売しました。2000年には平日半額としてハンバーガーの値段を65円まで値下げしました。

これに対し、対抗するロッテリアもすぐさま追随します。

このときのロッテリアの戦略を3Cで考えると、

 ・Customer:「低価格を望んでいる顧客」
 ・Competitor:「半額のハンバーガーが強みの競合」
 ・Company:「ハンバーガーを対抗して値下げする」

という分析が一応できるように見えます。しかし、マクドナルドには世界中に最適化された牛肉の調達経路とノウハウがあります。ロッテリアも国内大手のハンバーガーチェーンですが、コストダウンという点においては世界最大手のマクドナルドに、長期間対抗できるだけの体制が整っておらず、この路線は失敗しました。

競合との差別化は、その競合が長期的な優位によるシェアや、競合独自の資源によって支えられているか?という点に注意しないといけません。

また、このときは勝利していたマクドナルドもやがて業績が低迷し低価格路線を取りやめます。2002年に赤字決算を計上、当時の社長が引責辞任という結果になりました。今現在は正しい競合の戦略も、数年後も正しいのかは分かりません。

3C分析とは、弱点とは、競合相手の戦略を重視するあまり、競合の戦略に自社の戦略が左右されすぎた結果、自分の強みを活かす差別化ではなく、ただの追随になってしまうことがあります。

競合の戦略を支えるさまざまな要因をふまえて、あくまで先生と先生の治療院独自の要素によって、自分だけの顧客を作ることを目指した方が長期的には高い成果を生み出すことが多いようです。

 

Customer:顧客を奪い合うのではなく、一緒になって拡大する

3C分析では、「顧客」は「競合」と「自社」を比較する、だから「競合」と差別化をして、「顧客」が「自社」を選択するようにする。つまり「顧客」を奪うためにはどうするかという戦略を分析する手法になります。

3C分析には顧客の規模を拡大するにはどうするかや、自社と顧客の間で満足度を上げるためにはどうすればいいかというような要素はなく、そこが3C分析の限界といえるでしょう。

競合する治療院は確かにライバルですが、同時に治療という同じ目的を持って市場を成長させる「同志」でもあります。

競争はお互いを潰し合うのではなく、高め合うことが理想です。一緒になって治療家という業界を盛り上げ、一人でも多くの悩みを抱える患者さまに治療家という選択肢を知ってもらう。そのような戦略が現代の市場では有効と、マーケッターの間でも言われるようになってきています。


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