フロントエンドとバックエンド、点ではなく線のマーケティング | ミッシェル・グリーン

フロントエンドとバックエンド、点ではなく線のマーケティング

カテゴリー:マーケティング
2015年10月7日

フロントエンド、バックエンドという言葉は、異なる業界で別の意味を持つこ言葉です。そのためインターネットで情報検索するときに、混同して憶えてします。

 

ウェブサイト制作の世界だと、バックエンドは各プログラム、フロントエンドはそのプログラムをウェブサイトに落とし込みユーザーから見えるようにする部分。無線の世界だとアンテナと増幅器がフロントエンド、信号を精製編集するのがバックエンド。原子力発電では、燃料製造、発電所建設、運転に関わる事業がフロントエンド、放射性廃棄物の処理や核燃料リサイクル事業がバックエンド……といった、なんとなく似た傾向はありますが、それぞれ同音異義語となっています。

 

本題の治療院にも適応できる、マーケティングにおける「フロントエンドとバックエンド」とは、商品・サービスの役割のことです。

フロントエンドと言うのは「最初に見せる(集客する)商品・サービス」、バックエンドというのは「フロントエンドを買ってくれた人に対して、さらに売り込みをかける(収益を上げる)商品・サービス」となります。

さらに、アップセル(フロントエンドのランクアップ商品、フロントエンドから直接本命のバックエンドに行かずつなげる商品)、クロスセル(付属商品、フロントエンドと組み合わせて利益を出す)といった、段階や目的によってバックエンドを細分化することもできます。

 

フロントエンド、バックエンドの事例

昼ランチを行う居酒屋は今では少なくありません。居酒屋ランチは値段の割に内容が充実していることが多いのですが、これは夜の食材の残りを煮物にして使っているからや、夜の営業がメインなので家賃や設備費をメニューの値段に考慮しなくて済むというのもあるようですが、一番の理由は、昼ランチが「フロントエンド」だからだという点です。

昼ランチの客単価は500円(ワンコイン)か1,000円くらいです。それに対して本命(夜)の客単価は3,000円から5,000円以上。昼ランチは居酒屋の料理や雰囲気のPRの場、つまりフロントエンドで、本命のバックエンドは夜の利用者増大です。ここで儲けることはメインではないので、安い価格で提供しているのです。

飲食店だと、うどん屋でもフロントエンド、バックエンドの考え方は活用されています。この場合は安いかけうどんがフロントエンドで、トッピングがバックエンドです。安く済ませようと思っても、並んだトッピングメニューを見ると、私もついつい一つか二つ手が伸びてしまいます。

 

 

全国どこでも見られる好例として…

マクドナルドの販売方法でしょうか。100円マックやコーヒーなどを目当てに行くと、よく次のようなセールストークが行われます。

「プラス20円でMサイズにできますが、いかがされますか?」
「フライドポテトをセットにできますが、いかがですか?」
「今、期間限定でお月見バーガーを販売中です。いかがですか?」

安い商品をフロントエンドにして、利益の出る商品を販売するという手法の好例でしょう。

旅行代理店のようなサービス業界にも、フロントエンド、バックエンドはあります。この場合は、旅行ツアーそのものがフロントエンドです。そして現地のイベントに参加したり、美味しいお店でのディナーなど多数のオプショナルツアーがバックエンドになります。

利用者はせっかく旅行するのだからとオプショナルツアーを利用し、そこで旅行代理店は大きな利益を上げることができます。

 

フロントエンド、バックエンド手法は悪いものではない

このようにして考えてみると、まるでバックエンドは顧客を騙しているように感じるかもしれません。ですが、そうではありません。むしろ、「バックエンドを考えることこそが顧客のためにもなる」と言えると、私は考えています。

先ほど例としてあげた旅行代理店のケースで考えてみましょう。たしかにバックエンドは割高に感じるかもしれません。しかし、バックエンドは強制ではありません。海外で何をするか自由時間の使い方がはっきりしており、オプショナルツアーには興味が無い利用者もおられます。旅行代理店にとってそれはそれでいいのです。

旅行ツアーの利用者の中には「高いお金を支払ってでも、せっかくの旅行を最高の思い出にしたい」と方も必ずいらっしゃいます。そういった方々に提供すべきは安さではなく品質です。高品質なブックエンドを提供するために、フロントエンドによって集客する。それが双方の顧客にとってもっとも良い関係が構築できているのです。

 

やってはいけないこと

ただし、フロントエンドだけで完結できない方法はクレームの対象になります。一つのサービスを複数に細切れにして、最初だけをフロントエンドとして販売するというのを思いつきそうになりますが、それは正しいフロントエンド・バックエンドマーケティングではありません。フロントエンドだけを求める方も満足が得られるようにしましょう。

初回割り引きで次回以降の利用を狙う場合も、これはフロントエンド・バックエンドとは違うものと考えましょう。この場合は、最初から「初回で効果を実感できますが、根本的な改善には何度が来院していただく必要があります」など、あくまで体験版であることを患者さまにお伝えすることが大切です。

 

整骨院、接骨院、整体院でも役立つマーケティング

フロントエンド・バックエンドの考え方は、もちろん先生の治療院でもお役に立てるはずです。役立てるためには、患者さまへのコミュニケーションが必要です。営業トークの技術にもなりますが、例えばこのようなパターンが考えられます。

産後のスタイル矯正など美容などを扱う整体院を想定します。

① 産後骨盤矯正、通常45分、5,000円の料金が期間限定で2,000円に割り引き。

これがフロントエンドです。利益を取るためではなく集客を目的とするメニューです。

② 来院された利用者さまにカウンセリングを行い、効果が出そうであれば「75分コースですと、全身への施術が行えますが、いかがでしょうか?」

これがアップセルです。時間を長くすることで施術内容をランクアップします。

③ 併せて利用者さまに「マシンを使ったトレーニングで体幹を強化し、ボディラインを改善できますが、体験してみてはどうでしょう?」

これがクロスセルです。通常の骨盤矯正に加えて行うことで効果を高めるメニューです。

④ そして、施術終了後に、満足していただけているようなら半年間のコースメニューのご案内を行う。

これがバックエンドになります。本命のメニューをご提案します。

 

少し商売ッ気が強すぎるように感じるかもしれませんが、利用者さまが望んでいることがより高い効果を求めているのならば、それをご案内することこそが利用者さまの為になることです。

もちろん、望んでいないのならば無理強いはしないことも大切です。特に、「断るのが申し訳ない」という感情でバックエンドを購入される方がでないようにしましょう。そういったケースの場合、顧客満足度が低下することになり、リピーター率も低下するケースがあります。

最初は営業トークではなく、ご案内トークくらいの気持ちで「こういうのもありますよ」とアピールする程度でいいかもしれません。先生の方から必要ないと言ってくれてもいいという道を用意してあげましょう。

 

まとめ

フロントエンド・バックエンドについて、「こんなことは知ってるよ」という先生もいらっしゃったかもしれません。もしくは「フロントエンド・バックエンドとか用語は知らなかったけれど、そういったことは実践はしてたよ」という先生もいらっしゃるかもしれません。

ですが、もしフロントエンド・バックエンドについてはじめて知ったとう先生は、売上をアップする余地がまだ残っていると言えます。先生の治療院の施術メニューを見ながら検討してみてはいかがでしょうか。

今回の記事が、先生の参考になれば幸いです。


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